ひかりのなかで

あたたかくて穏やか

ねむい

 

「あっ、洗濯しなくちゃ」

自分の寝言で目が覚めた。でも洗濯しなくちゃいけないのは本当だった。起き上がって、寝ぼけたまま洗濯機の上の棚を探る。妙に軽いボトル。

「あっ、洗剤切らしてるんだった」

洗剤がないということに気づいたら、急にまた眠気が強くなってきた。ふわふわのパジャマがあったかい。ベッドにもぐりこみ、毛布にくるまり、おやすみ…

 

学校の廊下で、わたしは女の子と一緒に歩いている。この子は誰だか分からないけど友だち。よくわかんないけど。そうなんだ、友だちなんだ。サラッとした長い髪を後ろに払って、彼女はわたしの手を引いた。ああ、女の子の手ってやわらかい。ドキドキする。わたしも女の子だけど。女の子ってやわらかくていい匂いがしてすてきだ。女の子万歳。

 

友だちはぐんぐん長い廊下を歩いていって、たくさんの窓と他の生徒とすれ違った。萌え袖ズルズルカーディガンの細身長身男子がいる。はあ、こういうの大好きなんだよね…すきすき…銀縁の眼鏡とかかけてほしい。みんなおしゃべりをしていたり追いかけっこをしていたり、歌を歌っていたり、二つ折りのケータイをいじっていたりする。長い廊下、たくさんの窓。初夏の日差し。外には暗い森。踏まずの森だ、懐かしいなあ。遠くから近くへピントが合う。あっ、てんとう虫。サッシにてんとう虫がいる。三匹くらいいる。銀色のサッシは冷たいかな、あったかいかな。座り込んだ女子生徒たちがあぐらをかいている。そんな座り方したらパンツ見えちゃうよ。開けっ放しの扉から教室が見える。お昼休みの光景。奥の窓際の席で銀縁眼鏡の男の子が本を読んでる。黒板の落書き。散らばるトランプ。ああ、あの男の子をもっと見ていたい…..女の子のすばらしく柔らかい手が離れる。あっ、待って。ドボン。

 

急に足元がふわっとなくなって、トロッとした液体に落ちた。なんだろう、これ。泡がとてもキラキラしてる。甘い。……..ガムシロップだ。ガムシロップに溺れてる。あたり一面キラキラしていて、廊下の風景が滲んでいる。息が出来ないな…息が…甘いな、すごく甘いな…制服、洗濯……

 

「はっ!洗濯!しなくちゃ!」

 

あれ。目が覚めた。まだ口の中が甘い気がする。そうだよね、ガムシロップに落ちたんだもんね。寝ぼけたまま洗濯機の方に歩いていって棚を探る。妙に軽いボトル。

 

「そうだ…洗剤切らしてるんだった…」

 

 

妖怪三題噺さま http://twitter.com/3dai_yokai
本日のお題は「洗剤」「蜜」「窓」でした。

 

 

 

ばあばの畳部屋

 

年末は大掃除。じいじが障子を張り替えているせいで、和室はガラス張りの温室みたい。冬の高い空がよく見える。ばあばが歯ブラシ二本と塩の入った大ぶりの瓶を持ってきた。わたしは畳に寝っ転がったまま、読みかけの本を逆さに置いた。

 

「ばあば、塩なんか持ってきちゃって何すんの?」

 

ばあばは幸せそうに笑い皺を深くして、膝を折り曲げて座り、左横に塩の瓶を置いた。

 

「畳のほこりを取るんだよ、綾ちゃん」

「塩でーえ?」

「そうよ。まあ見てなさい」

 

ばあばが畳の縁に近いところに塩をそっと振りかけて歯ブラシで井草をなぞるように掃くと、ほんとうだ、ほこりが集まって取れていく。ばあばは、なんでも知っている。わたしがこういうのをすぐやりたがることもお見通しだ。

 

「すごいねえ、綾もやる」

「畳の編み目に沿ってサッサッてするのよ」

「うん」

 

縁は濃紺のすこしキラッとした布に覆われていて、とてもきれいで、畳部屋の一番好きなところ。きれいな布を傷付けないように慎重に歯ブラシをかけていく。ばあばは、じいじがこの間煙草の火を落として焦げたところを端切れにオキシドールを染み込ませて叩いている。

 

「綾ちゃん、お勝手の流しの下に蝋燭があるから取ってきておくれ」

「うん!他には何かいる?」

「綾、じいじの煙草持ってきてくれ、火も一緒にな」

「おじいさん、綾に危ないものを持たせちゃダメですよ」

「綾もう11歳だから大丈夫!」

 

わたしは畳部屋を飛び出してキッチンへ向かった。じいじとばあばの家は改装した頃、とても「ハイカラ」な家だったのだそう。でも、わたしは「ハイカラ」の意味を知らない。キッチンの壁はクリーム色とさくら色のタイルで埋め尽くされている。流しの下を開けるとチュウ、とネズミがひと鳴きして顔を出した。青いろうそくの箱を掴んでサッと扉を閉める。コンロの横に置かれたじいじのホープと百円ライターを反対の手に持って急いで戻った。

 

「はいどうぞ」

「ありがとうねえ」

「はいどうぞ」

「助かるなあ」

「おじいさん、もう畳は焦がさないでくださいね」

「ハイハイ」

 

ばあばは使いかけのろうそくを色の薄くなった焦げ跡に少し塗った。「こうするとね、ささくれで怪我をしないんだよ」そう言って、ゆっくりと部屋を出ていった。きっとお茶の用意だ。今日はおしんこじゃなくて、昨日買ったカステラがいいな。

 

じいじが貼りかけの障子を壁に立てかけた。ガラス戸を開けて、縁側によっこしょと腰を下ろして煙草に火をつける。

 

「これで畳は焦げん。昔はあっちこっち焦げてたから、このくらいは大したことなかろうが」

「あっちこっち?」

「そうだよ、戦争はなんでも焦がしちまう」

「人間も?」

「そうさ、真っ黒焦げさ。空からすごい数の拳銃の弾が降ってくるんだ、バリバリバリッて音立ててな。火の玉みたいなもんも落ちてきた。サイレンが鳴ったら頭巾をかぶって、穴ぐらにみんなで潜り込んでやりすごんだ。綾も持ってるだろ、防災頭巾

「うん。銀色のやつね。いつもは座布団にしてるけど」

「ずっと座布団のままでいいんだ、あんなもんは」

 

じいじは庭のさるすべりの木に目を向けて、しばらく黙り込んだ。何かを思い出しているみたいだけど、わたしにはとうとう分からなかった。

 

「お茶ですよ」

 

ばあばの声にクルッと振り向くと、お盆の上にはカステラがあって思わずにんまりした。

 

「ばあばはなんでも知ってるね、綾がカステラ食べたいっていうのも」

「綾ちゃんのことはなんでも分かるのよ。おあがりなさい」

「いただきます、おいしそう」

 

カステラの底にはたっぷりざらめが付いていて、口に入れるとふわふわとざりざりが両方聞こえてきた。じいじは煙草を深く吸って、あごをあげて空に向かって煙を吐いた。そして厳しい顔をしたまま下を向いた。きっと、もっと大きくなったら戦争の話をしてくれるんだろう。わたしは甘いカステラとちょっと苦いお茶を順番こに口に入れながら、ばあばとおはじきをする約束をした。もちろんお掃除が終わってから。

 

  妖怪三題噺さま http://twitter.com/3dai_yokai
本日のお題は「機関銃」「塩」「蝋燭」でした。

 

神様の遊び

 

落ち葉降る境内、狛犬の横にちいさな男の子が座り込んでいる。ゲーム機を両手に持って、カチャカチャと音を立てている。プラスチック特有の軽やかなその音につられて、神様が本殿の扉からひょっこりと顔を出す。

 

「なにしているの?」

「あっきつねさん。ぼく、いまゲームしてるんだ」

「げえむ?」

「かみさまのくせに げえむ も しらないのか」

 

近寄ってしゃがみこむ神様。白い尻尾が3本。キツネ目がちいさな画面の中で動く獣を追い始めている。

 

「また弱いやつだ」

「浩太、弱くてはいけないのか?」

「強いのじゃないと負けちゃうんだ」

「負けてもいいだろう、別に」

「それじゃあゲームする意味がないじゃんか」

 

神様は、ふむ、と言ってしばらく浩太がゲームに熱中しているのを見ていた。

 

「浩太、天才と普通だったらどっちがいい?」

「天才のほうがいいに決まってる、だって強いんでしょ?」

「まあ、そうかも知れん。浩太を天才にしてやろう」

「おお!やった!」

 

地面に落ちた紅葉が風で舞い上がる。

 

「強い、だけではダメなのだぞ。浩太」

 

それ以来、浩太は神社に来なくなった。

 

ーーー

 

「あれが首席卒業の」

「そう、首席卒業の」

 

ひそひそと隣の島から声が聞こえる。静かなオフィスの中、暇なのか女性社員はおしゃべりに興じている。どうせ、いつもの話だ。

 

「なんでもできるんでしょ?」

「なんでもできるみたい」

「仲良くなれそうもないね」

「そうね」

 

こういう会話、何度聞いたことか。ぼくは天才で、なんでもできる。それなのに、どうして誰も寄って来ないんだ。利用価値だって、メリットだって、あるはずなのに。

 

いくら考えても答えは出なかった。天才なのに。

ぼくはその日、会社の屋上から飛び降りた。

 

ーーー

 

翌日、寂れた居酒屋で、疲れたサラリーマン二人。

 

「井上、飛び降りたんだってな」

「あんなに頭良かったのに」

「恵まれているやつほどこうなるらしいな」

「天才って嫌になっちゃうよなあ」

「ゲームだったら話は別だよ」

「また個体値にこだわってんのかよ、帰ったらゲーム三昧か」

「タマゴ孵化待ちよ」

「単純でいいよなあ」

「人間は強すぎても弱すぎても嫌われる」

「みんなと一緒が一番安心だ」

 

浩太がいなくなっても世界は変わらない。

天才がいなくなっても仕事は回る。

 

神様はだれも来なくなった本殿で、次の餌食を待っている。

 

 

  妖怪三題噺さま http://twitter.com/3dai_yokai
本日のお題は「個体値」「神社」「プラスチック」でした。

穏やかな落下

 

青々とした草原がどこまでも続いていて、山も川も街も家も見えなかった。極彩色のワンピースが膝のあたりを撫でる。どの方向に歩いていけばいいのかどこへ歩いていくのかすら分からない。風がそよいで長い髪がなびく。途方に暮れているのに気持ちはすっきりしていて、ただ、吹かれるままに風を受けていた。その場に座り、目を閉じる。土と草の匂い。まぶたの内側で赤黒い空を見た、赤黒いーー

 

気づいた時にはもう起き上がっていた。赤黒い空や草原や気持ちのいい風や土と草の匂いはすっかり消えた。いつものデイベッド、毛布、5.5畳のワンルーム、昨日シンクに置いたままの食器、たたまれずに沈黙する洗濯物が瞬時に襲う。馬頭琴の悲しげな音色がスマートフォンから流れている。聴きながらそのまま寝てしまったようだった。

 

窓から差し込む冬の冷たい光が淀んだ部屋の空気を照らし、埃がキラキラしていた。手近にあった白いワンピースに着替えて、そのままサンダルを履いた。歩き始めてから家の鍵をかけなかったことを思い出す。いいや。坂をのぼり、くだり、またのぼって曲がりくねった道を歩いて行くと高台に公園がある。赤いブランコに腰掛けると、少し離れたところで鳩が一気に飛び立った。そのあとには猫が悔しそうに寝そべっている。ゆらゆら、揺れるブランコ。足を前へ蹴り出す、大きく振れる振り子。空に近づき、離れ、目がぼやける。視界の片隅でイチョウの木が黄色い葉を落としていた。

 

ザリザリッと靴底と砂利が擦れて振り子を止める。公園の奥は崖になっていて、下には暗い森が広がっている。小学生のとき、担任の先生が「踏まずの森」と呼んでいてみんなを怖がらせていたな。歩いていき、錆びついた手摺を掴む。通っていた小学校が遠くちいさく見える。もちろん、森と校庭の境目の、高い柵も。

 

サンダルを脱いで裸足になる。細かな砂がまとわりついてすぐに汚れてしまった。様々なことを思い出す。昨日友だちと飲みに行ったこと、小説を書いたこと、仕事を辞めようか迷うこと、大好きなひとのこと、君の…くしゃっとした笑顔と、わたしの名前を呼ぶ声と……

 

手摺から身を乗り出した。風に包まれ、そのまま、逆さに。目は空の色しか映さなかった。鈍い音。身体中に固い地面を感じた。ワンピースが赤い。

 

生きたかった。

 

 

そう思った。目が閉じていく。

赤黒い空が滲んで消えた。

 

 

  妖怪三題噺さま http://twitter.com/3dai_yokai
本日のお題は「鳩」「逆さま」「アジア」でした。

 

らぎらぎのヘンな100の質問 後半

ケルクショーズ・イリヤ「ヘンな100の質問(questioned by lalalagi)」(らららぎさん)

http://chatte.hatenablog.jp/entry/2016/12/10/184313

 

後半戦!レディー、ファイッ!(カーン)

 

 

51.単にお腹が減っているだけの相手に対して、じぶんの顔の一部を食用として差し出すことで、そのひとはどんな見返りを求めていると思いますか。

見返りを求めているとは思わなんだ・・・

 

52.桃太郎のお供として「外交官」と「宣教師」はどちらが優れていますか。

外交官だと思いますが…外交官ってどんなお仕事しているんだろう(無知)

 

53.真っ先にやるべきことを抱えていますか。

いっぱいありすぎて消化していかないとそろそろ人生ギブアップしそうです…

 

54.十四歳で妊娠してお母さんになったらどうすればいいですか。

そうならないようにまず、気をつけてほしいですが…自分のためにも子どものためにも、両親に預けて高校・(可能なら大学/短大/専門)は卒業したほうがいいと思います。子どもはいつでも持てるけれど、14~22歳(大多数の人が学生をする年齢)は一生一度きりで戻ってきませんので…

 

55.じぶんのことを叱るとしたら、どんな風に叱りますか。

「勉強して頭良くなりましょうね」

 

56.中学最後のクラスの席を「いろはにほへと順」にしたら、あなたは何番目ですか。

「す」 窓際の一番後ろの席。

 

57.進研ゼミをやっていなくとも「あ、ここ進研ゼミで出たとこだ」と感じることはできますか。

進研ゼミやってなかったら無理かもしれません…でも、あ、これやったことある!っていう気持ちならおそらく感じることができると思いますよ。

 

58.「あずき色」という言葉からどんな思い出が連想されますか。

おばあちゃんのお茶室に置いてある風呂敷。(おばあちゃんは茶道の先生)

 

59.絶対に間違っていることわざはありますか。

絶対に間違っている!って程ではないんですが、「死馬の骨を買う」というのはうーむ、って感じです。

 

60.努力せずとも感謝できますか。

努力をすることで初めてありがたさが分かるというやつですね・・・ありがたさが分からなくても感謝はできると思います。言葉だけでも。

 

61.なくてもよかった科目はありますか。

ないです!全部あってよかった!

 

62.いまの時代「メル友」を作るにはどうすればよいでしょうか。

メル友募集しているサイトからメールを送ってみるのはどうでしょう。

 

63.いちばんリラックスできる声についてできるかぎり詳しく教えてください。

少し低めでささやくように話し、息が混じるような声。

 

64.天才エピソードとマヌケエピソードを教えてください。

天才 某飲食店の営業自粛を阻止したこと

マヌケ 平常運転時

 

65.「じぶんを動物に例えると?」と質問してくるひとを動物に例えるとなんですか。

人間ですねえ…

 

66.「あなたはウソツキなの?」と質問されたら、どのように答えますか。

ウソツキだと思いますよ。でも誰がどのことでどんな風に嘘と本当のことを言っているかなんてわからないのだから、わたしが自分のことを「ウソツキだと思う」と言ったとして、それを正しいと取るか嘘だと取るか、それだけであなたの質問の答えが変わります。あなたがウソツキだと思えば、わたしはウソツキなんでしょう。あなたにとっては。それが正解です。

 

67.趣味ではないことを趣味だと言ったことはありますか。

ないです…突っ込まれたら話題を展開できないので…

 

68.インターネットに依存していますか、インターネットがあなたに依存していますか。

少なくとも依存している気がする…でもこの先に人がいなかったら、やっていないかも…インターネットはわたしを必要としていません…

 

69.いまから6時間、変に過ごそうと思ったらどう過ごしますか。

新宿の花園神社で和服を着て狐のお面をかぶって、浮世に遊びに来たきまぐれな神様という設定で遊びます。

 

70.ここまでの人生にタイトルをつけることはできますか。

「明るい飼育」

 

71.好きなこと・もの・ひと・コミュニティのパンフレットを作れますか。

作れます!パンフレット作り大好きです。楽しい。

 

72.じぶんを一言で表せないと思いますか。

無理ですねえ。無理やりになりますねえ。

 

73.「好きにして」が嬉しくないときはありますか。

あります。「なんでもいいよ」って言われてうれしくないのと同じような感じなのですが、なんでうれしくないのかは自分でもよくわからないです。

 

74.人類皆兄弟なら、肉体関係皆近親相姦ですか。

(やばいやばいやばいやばいそうかもしれない)

 

75.奪いとりたい他人の夢はありますか。

他人の夢を奪いたいと思うほどの興味はありません。自分のことで精いっぱいです。嫉妬している暇なんかありません。

 

76.最近きいた立派な意見はありますか。

意見ではないかもしれない。「従わず逆らわず」

 

77.同じひとと食事に行き、前と同じ席だったらうれしいですか。

そのひとが「あっこの間と同じ席だね」って覚えていてくれたらとてもうれしいです

 

78.カレーが何色だったらいちばん嫌ですか。

青・紫・ピンク…無理…

 

79.アイドルは神になれますが、ゼウスやシヴァは何アイドルになれますか。

わかんない…神界の中のアイドルで神になる…

 

80.静けさをうるさく感じることはありますか。

しーーーーーーーーーんっていうのうるさいですよね。

 

81.徹夜をするときだけのルールや習慣はありますか。

絶対に横になってはいけない(即寝てしまう)

 

82.親の性癖が完全に遺伝するのと、親の性行為のVTRを観るのはどちらが嫌ですか。

どっちもいやだけど、後者のほうが圧倒的に無理(まず目撃したことがないので親でなくてもショックを受けそう)

 

83.「すべての願いを叶える力」を手に入れたひとが「俺は力に頼らずすべての願いを叶える存在になりたい」という願いをして、それを叶えたとして、これから彼はどうやってすべての願いを叶えるのでしょうか。

神様になったのかなあ…

 

84.じぶんの好きになるひとの顔の上に常に林檎の皮が付着してしまう怪奇現象と、「ペン」ということばが耳に入ってくるたびに脳内のピコ太郎が「アッポーペン」とささやく病気、どちらがマシですか。

ピコ太郎のほうがましだなあ…

 

85.脳を見れば犯罪者かどうかわかりますか。

犯罪は行為であって人そのものではない気がするので、脳を見ただけでは分からないと思いますが、脳に記憶されていた行為を見ることができかつその行為が犯罪だったら、犯罪者かどうかわかりそうですね。

 

86.尿瓶でしかトイレできなくなるのと、毎朝起きたら枕元に食べかけのブロッコリーが置いてあるのはどちらが嫌ですか。

前者のほうがいやです。

 

87.来世は、運のいい猿と運の悪い人間ならどちらになりたいですか。

猿がいい…人間はもういい…(遠い目)

 

88.コンピューターが心を持ったら何友達になりたいですか。

おしゃべりするともだち~~~~

 

89.「神は細部に宿る」そうですが、なぜもっと広い間取りに宿ろうとしないのでしょうか。

木を割り、石を持ち上げることの必要性を教えるため。(つまり働けということ)

 

90.郷ひろみさんからの質問です。「あーちーちーあーち、燃えているんだろうか?」

確かめましょうね。燃えてたら大惨事ですよ。

 

91.RADWIMPSさんからの質問です。「はるか昔から知るその声に、産まれて初めてなにを言えばいい?」

わたしも…何を言ったらいいのか分からないよ…(困惑)

 

92.BUMP OF CHICKENさんからの質問です。「そしてその身をどうするんだ、本当の孤独に気づいたんだろう?」

人の輪のなかで生かします。

 

93.修二と彰さんからの質問です。「Si, 俺達はいつでも二人で一つだった、地元じゃ負け知らず、そうだろ?」

田舎のヤンキーかな?

 

94.ガロアさんからの質問です。「いまから決闘に行かないといけないのですが、世紀の大発見を記した書き途中の論文はどうすればいいでしょうか?」

論文を書きましょう。剣を捨てましょう。決闘なんかやめておしまい。

 

95.ニーチェさんからの質問です。「深淵をみるときは、深淵にみられていますか?」

深淵「またお前か」

 

96.ホッブズさんからの質問です。「殺し合うのはひとの定めですか?」

そうかもしれないんだなあ…正義の名のもとに死という制裁を与える仕事もあるんだなあ…否めないんだなあ(みつお)

 

97.ライプニッツさんからの質問です。「世界がなぜ(実在しないよりも)むしろ実在するのですか?」

知…知覚できているからかな…?(困惑)

 

98.ネーゲルさんからの質問です。「コウモリは超音波を発して反響音から周囲を理解していますが、それは見えているのですか、聞こえているのですか、それともまたちがう感覚だと思いますか?」

皮膚感覚っぽいイメージがある…音だけど……波だから…なんかこう、ビリビリって…

 

99.チャーマーズさんからの質問です。「脳は物理的な計算や情報処理をしているはずなのに、その途中でどうして心的なものを生み出すのでしょうか?」

バグです!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

100.あなたは変なひとですか。(おわり~)

変な人かもしれない!(人は皆そう)

 

ありがとうございました!

らぎらぎのヘンな100の質問 前半

ケルクショーズ・イリヤ「ヘンな100の質問(questioned by lalalagi)」(らららぎさん)

http://chatte.hatenablog.jp/entry/2016/12/10/184313

 

怖いよう…怖いよう…なにか見透かされるうう…

ハイ、答えていきますよ~~!

 

1.どう、最近? 睡眠時間削ってる?

あんまり削らないようにしてるよ!じゅんさんまた睡眠忘れてない?だいじょうぶ?

 

2.今日も100質やるよ、よろしくね。

はーい宜しくお願いしまーす

 

3.インド風のもので一番好きな食べものはなんですか。

バターチキンカレーかな…?

 

4.あなたの身体のパーツのうち、あなたにとって最もタブーなところはどれですか。

顔です。

 

5.歯と歯の隙間にだれかを挟めるとしたら、どんなひとを挟みたいですか。

たぶん気になって仕方ないので誰もはさみたくないです。

 

6.心臓は馬鹿ですか、賢いですか。

馬鹿かもしれません、嘘がつけないので。

 

7.屋上は幸福ですか、不幸ですか。

天候に寄りますねえ。

 

8.美しい景色を撮影することは、盗撮ですか。

盗撮、というのは人や芸術作品を対象としているイメージがあるので、美しい景色については大丈夫な気がします。

 

9.世界をよりよくするために、手の指は最低何本あればよいですか。

両手合わせて10本、増やすことは出来ませんし、失わないように気を付けましょう。

 

10.月で餅を搗かされているウサギは、あと何年で過労死しますか。

ウサギが餅を搗いているのは、強いられた労働だったのね…(まあそう簡単に伝承は死なない)

 

11.さっきから質問に違和感があるって? 今日はずっとこんな感じだよ! じぶんのタイミングで休憩してね。

変なことを考えさせられるのは百も承知なので大丈夫よ…

 

12.いますぐ理想の体型になれるならいくらまで払いますか。

いますぐ得られるのならまあいますぐでなくとも…となってしまうので金で体型は買いません。

 

13.電車がどこまでも続くのなら、運賃はどういうシステムになると思いますか。

いまと変わらなさそうです、遠くなれば遠くなるほど高くなるシステム…

 

14.感覚が無痛になることと、舌が無味になることはどちらが嫌ですか。

痛覚がなくなったら、余計な怪我をしないように細心の注意を払って生活すればいいのですが、おいしいものをおいしいと感じられる舌は失いたくないです!後者は楽しみを失う!いやだ!

 

15.「こいつ侮れないな」と思ったときのことを教えてください。

みんな頭いいので常に思っています、バカは人を侮っちゃいけません。

 

16.両手を挙げて目を閉じると「イメージしてごらん」みたいなジェスチャーになるのはなぜでしょうか。

なるかな…想像が追い付かず深呼吸している人が思い浮かびました…

 

17.温泉街でやったら儲かりそうな新しいビジネス•事業はなんでしょうか。

すでにあるかもしれませんが、かわいい和風小物ノベルティ(小物じゃなくてもみんなでお揃いの浴衣がノベルティとかだともう本当にわくわくです)なんかを付けた女子会プランを設けるのはどうでしょう…女子会プラン限定で夕食の後とかおやつどきに甘味が出ますとか…わたしだったら行きたいです…

 

18.原始人よりも原始的にできることはありますか。

眠ることくらいしか思いつかないな…

 

19.十年後のじぶんの性癖•嗜癖•好みはどうなっていますか。

素敵な何かに出会わなければあまり変わらないと思います

 

20.一本道で道に迷うことはありますか。

まっすぐ行けば迷わないけれど、あれこれ見て歩いたらあれ?通り過ぎちゃったかな?みたいな迷い方をする可能性が否めません(方向音痴)

 

21.切手に変な思い出はありますか。

切手を集めてどこかに送ると募金になるみたいですよ、会社でやっています、せっせと集めてます。

 

22.大豆製品(納豆•豆乳•醤油•味噌•油揚げなど)における大豆感をランキングしてください。

豆腐>豆乳>味噌>納豆>油揚げ>醤油

前世お稲荷さんだったのではと思うほど油揚げは本当においしいだいすき

 

23.食べながらくちゃくちゃするひとは、心の中はくちゃくちゃですか。

ルーズそうな気はしますけど、違うと思います。お口は閉じて食べるように意識しましょうね。

 

24.神様はサイコロ遊びをしますか。

神様の暇潰しですねえ、遊んでいると思いますよ。えいって。

 

25.量産型大学生ファッションは、なにによって(あるいはだれによって)量産されているのでしょうか。

「みんなと一緒のことをして安心したい」という制服から卒業しきれていない学生たちの気持ちと、これを汲んでファッションのトレンドを作るひとたち。

 

26.前髪を3ミリ切ったら見えるようになるものとはなんでしょうか。

より明るい世界(光を遮らなくなるので)

 

27.そもそもどこからどこまでが「前髪」なのでしょうか。

こめかみ部分を抜いたおでこ部分にかかる髪が前髪

 

28.「天下の台所」という二つ名があるひとは、具体的にどんなひとだと思いますか。

うーむ…参謀みたいなひと?企画とか具体的なことをやってくれそうな感じ。

 

29.仮病は病気ですか。

「会社/学校/バイトに行きたくない」という気持ちがもうすでに病気かもしれません。病気の可能性は十分にあると思います。

 

30.学校のどこかにチュープリ(キスプリ)を貼らなければならなくなったとして、どこに貼りますか。

そうそう見つからないところ…あんまり開けない扉の内側とか…靴箱の天井とかどうでしょう。

 

31.早口言葉ができないことは、人生になにか影響をおよぼしますか。

下っ足らずでかわいかったら得かもしれませんねえ。

 

32.初めて呼吸したときは驚きましたか。

覚えてないです…でも産声をあげると肺が膨らむんですよね、確か。

 

33.明日はなぜ明日になると今日になり、また新しい明日が生まれるのでしょうか。

今過ごしている24時間と次過ごす24時間とを区別している…

 

34.「お父さん/お母さん」という呼び方は政府が定めたものですが、あなたにとっては自然的ですか。

そうなんだ自然じゃない…わたしはずうっとパパとママです。わたしのママもおじいちゃんとおばあちゃんのことはパパとママって呼んでいます。青砥家はみんなそうです。

 

35.友だちの友だちに言いたいことはありますか。

「わたしは君の友だちじゃない(わたしの友だちの友だちだからといって君ともオトクに関係が出来上がっているのでは決してないので積み上げていきませんか)」

 

36.最も魅力的な道具はなんですか。

文房具は最高です。見ているだけで幸せになれるので、ハンズやアートマン、ロフトなんかに行ったら何時間でもそこにいられます。もれなく呆れられます。

 

37.「アンメルツヨコヨコ」をタテに塗ったらどうなりますか。

成分がちゃんと浸透しなさそう。

 

38.靴紐に使いたい細いものはありますか。

りぼん!りぼん!りぼん!

 

39.犯してみたい罪はありますか。

ないですね…しいて言えば会社を無断欠勤したいですね(絶対無理)

 

40.男子トイレに入るおばさんと、女子トイレに入るおじさんは平等ですか。 ああ…平等じゃない気がする…

 

41.どんなひととどんな朝を迎えるのが最高ですか。

好きな人が先に起きてコーヒーのお湯をわかしてくれているとかいいですね。

 

42.身近に神ってるもの・ひとはありますか。

神ってる…?すごいってこと…?

 

43.人類はチームワークがいいですか。

個人プレー、チームワーク両方ともほどほどがきっといいと思います。

 

44.結果とプロレスはどっちが大事ですか。

(プロレス?プロセスでしょうな)どちらも大事だと思います。

 

45.海に向かって「バカヤロー」と言うのと「バッキャロー」と言うのではなにがちがいますか。

荒み度が違う気がします。

 

46.拳銃で撃たれたとき、胸ポケットにしまってあったなにでもって命を救われたいですか。

女の子のお洋服には胸ポッケがないことが多いので、逃げます!

 

47.人間とカラスが関係を最初からやり直すにはどうすればいいですか。

人間とカラスの攻防戦はもう随分長いこと続いていますが、最初からはむりでも、カラスたちはおつむが良いそうなので両者が意思疎通を取れるような工夫をして協定を結んだりなんかしたらいいのではと思います。

 

48.泥水を一滴たらしたワインは、もうワインではなくなるのですか。

ワンドロップルールを思い出しました。不純物が混ざってもワインでなくなることはないと思いますが、飲み物として口に入れようとする場合においてはそもそも飲み物でないという判断を下される可能性があると思います。

 

49.非常階段や非常灯は、ふだんなにをして暇つぶししていますか。

設置された場所から風景や動物や人を見ていると思いますよ。

 

50.これで半分まで行ったでやんすでありんすでござんす!

ぴい…(疲れた)

 

後半に続きます!

 

学生最後の冬

 

居間のテレビからお天気お姉さんの声が聞こえる。そっか、明日、雪が降るのか。講義、休みにならないかな。台所にジュースを取りに行ったら母さんが洗い物をしていた。

「祐介、ジュースの前にお風呂入りなさい」

「うん」

ぼくは「お風呂に入りなさい」という言葉がとても嫌いだ。でも、家族という集団で生活している以上、共有しているものを順番に使うことを強制されるのはある程度仕方ないことなのかもしれない。大学生生活も後少し。就職先も決まって、いよいよ一人暮らしへの道が見え始めてきたところだ、こういうことからも解放されて自分で自分のことをできるようになる。湯船に片足を突っ込みながら、どこでどんな生活をしようか、ぼくは妄想に浸かった。母さん、またあの入浴剤勝手に入れたのか。杉の香りが湯気とともに充満している。

 

あったかいお湯の中にいるとどうして目はどこも見なくなるんだろう。気づくと大抵、ぼんやりと空中に向いていて、電源を消し忘れたビデオカメラみたいになっている。いや、これは、空中を見ているのだろうか。視線を動かすと、色とりどりの「何か」がシャンプーとリンスの上の棚に置いてある。なんだろう。興味の方が勝って、ぼくはお湯から出た。静かだった水面がザバリ、と音を立てて、ゆらゆらと揺れている。四角くて、表面に緑と赤のギンガムチェックが印刷?されている。触るとぬるっとして、きっと石鹸なんだろうと思った。ぼくはその得体の知れない石鹸らしきものを元に戻し、適当に頭を洗い、ついでに歯も磨き、びしょ濡れのまま脱衣所に出た。あれ、タオルがないや。

 

「母さーん、タオル出してくんない?」

「あれ、なかったの?ちょっと待ってて」

 

すぐそこの台所から声がして、パタパタとスリッパが駆けていって、戻ってきた。脱衣所の扉がほんの少し開いて、タオルが差し出された。

 

「ありがとう」

「いいえ」

 

歯ブラシを洗面台のコップに立てて、受け取ったバスタオルでわしゃわしゃと髪を拭き、身体を拭いた。鏡に写った顔は無表情だった。これからいろんなことが自分でできるようになるというのに。スエットを着て、再び台所に行く頃にはジュースより牛乳が飲みたくなっていた。母さんはまだ洗い物をしている。

 

「ねえ、母さん。お風呂場のチェックのやつ、あれ、石鹸?」

母さんは水道の水を止めて、緑のビニール手袋を外しながらこっちを向いた。

「そうよ、デコパージュっていうの、石鹸の上に紙を貼るのよ」

「それって必要なの?」

「かわいいものは味気ない生活を変えてくれるのよ」

「またそんなこと言ってるの?」

「いいじゃない、かわいいものに理由なんかなくたって」

 

うまく噛み合わない会話をしながら、牛乳をコップにそそいだ。夕刊に駅伝出場校一覧が出ている。今年もうちの大学名が載っていた。

 

「今年もうちの大学、駅伝でるんだね」

「今回こそシード権とってほしいわね、応援しなくちゃ」

 

食器を拭きながら、母さんはあいかわらず楽しそうだ。来年の四月から、こんな会話もできなくなるんだろう。さっきまで早く一人暮らししたいと思っていたけれど、家を出るまではこのちょっと煩わしい生活を嚙み締めよう。牛乳が喉を通ってお腹に落ちていき、コップが空になった。テレビはお笑い芸人を映しているようだ。騒がしい笑い声が聞こえた。

 

  妖怪三題噺さま http://twitter.com/3dai_yokai
本日のお題は「物体」「学校名」「杉」でした。